は じ め に



 この夏,アメリカのSF映画「スターウォーズ」が初公開から20年を記念して,最新の技術でリニューアルされた。

 「スターウォーズ」は最初の公開時にも,コンピュータを駆使したSFX(特殊効果)が話題になったが,今回のリニューアルにあたって,最新のデジタル技術の特撮や音響効果を使い,以前には断念したシーンを加えている。
 かってゴム人形だった登場人物のモンスターが,今回はコンピュータグラフィックの合成によって自由に動き回り,人間と同じように演技をする。


 しかしながら,監督のジョージ・ルーカス氏は,コンピュータによる特撮にばかり注目が集まる,現在の映画界を取り巻く状況に,必ずしも満足していない。

 共同新聞記者のインタビューに答えたルーカス氏は,作品に一貫して込めたテーマとして,
「主人公が苦労や試練を乗り越え,未熟で自己中心的な人間から,他の人や社会を考える人間へ成長していく姿。それと,人間と機械の関係。」
をあげている。そして
「コンピュータを駆使した特撮は,製作者がストーリーを伝える道具にすぎない。ストーリー自体に問題があると,特撮ばかりが注目される」
とハリウッドの現状へ警鐘を鳴らしている(北日本新聞,1997年6月7日)。


 このルーカス氏の警鐘は,「特撮」を「授業」に,「製作者」を「教師」に,そして「ストーリー」を「学習のねらい」に置き換えると,そのまま,現在の学校教育がかかえてる状況への警鐘となるのではないだろうか。



 高度情報化社会が進展する中で,学校におけるコンピュータの導入が進んでいる。Windows95の登場によって,その使い勝手は,以前の呪文のようなコマンドを打ち込む時代からは大きく変貌を遂げ,かなり使いやすいものになっている。なにしろ、画面にうつる絵ボタン(アイコンという)をクリックすることによって、かなり簡単にコンピュータを扱えるようになったのである。

 正直言って、まだ扱いにくい部分は多々あるが、今後のさらなる技術の進展と共に,操作性はますます向上し使い易いものへと変わっていくことだろう。



 しかし,教員の多くは,そういうコンピュータをめぐる現況を前にして,コンピュータを授業で扱うことに不安を感じ,あるいは,どのように授業に使っていけばいいのかに悩んでいる。

 なぜ今,コンピュータなのか。コンピュータを使うことにどういうよさがあるのだろうか。そのことは子供に対してどのようにはたらきかけるのか。コンピュータの必要性が声高に叫ばれるにつれて,こういう疑問がわたしの中でもふくらんでいった。




 今回,内地留学する機会を得て,これらかねてから疑問に感じていた事柄に対して,たくさんの示唆を得ることができた。この3か月間というもの,カルチャーショックと目から鱗が落ちる思いの連続であった。

 本報告書を一読されて,これからの情報教育の目的や方向性について得た,わたしの感動と驚きの一端なりとも,感じ取っていただければ幸いである。





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