講演1 小学校における2002年完全実施に向けたカリキュラムの見直しと評価のあり方 (吉崎静夫:日本女子大学)
2001.8.10(金)@品川きゅりあん
(新教育課程に対する期待と不安)
- 期待→新しい学力(生きる力)の育成
- 不安→基礎学力の低下
(学力問題)4つの学力にとらえている。学力は各学校で十分研修して考えるべき。
- 基礎的な学力A
- 読み書き計算。不易の代表。すべての教科の基礎になっているから。社会生活を営む上で必要。最近の学力低下はこちらの集中
- 基礎的な学力B
- これまで指導要領では上限を示したが、今回は下限を示す。指導要領を越えてもいい。
- 発展的な学力
- 指導要領の目標と内容を発展させ学力。中学生で英検2級をどんどんとる。理数の好きな子供は、高校でも天気予報士をめざすなど。選択教科も活用する。
- 実践的な学力
- 教科の枠をはずして、現実の社会的課題を解決できる力。自分の問題として課題をとらえ解決する力。
3つは教科の力。Cは総合的な学習で育つことを期待する力。
@からBは教師主導。B、Cは子供が主体的な学びをする。
(埼玉県越ヶ谷小の評価)
教科には縦のつながりがある。総合は緩やかでいいがある程度のつながりがほしい。2学年をセットに考えた。
基本はテーマ学習、4領域。スキル学習はコンピュータと英語。
これからの社会には、4領域は重要と先生が考えた。文部科学省のニーズ=先行実践して問題点を明らかにしてほしい。
福祉。中学年は身障者、高学年は高齢者
国際理解。中学年は広く浅く。取り上げるのは歌遊び踊り食べ物。そのための共通体験。高学年は地域限定。
環境。中学年は、地域から。高学年は国際規模で緑から。
カリキュラムの視点の違いを明らかにしている。
(根本的な考え方)
総合的な学習は地域から始まる。
基礎として情報活用の能力がある。 |
- 地域の方を招いて共通体験。
地域に出て徹底的に調べ学習。(電話のかけ方を指導する。学年TTで取り組む。取材にいく目的。アポの取り方を十分練習する)中学年の場合は教師が陰でアポを取る。子供は自分で約束をとったと思う。高学年は自分だけで。
- どの学年も初めは共通体験を行って課題を見つけていく。6年生最後に自分のこれまでのを振り返って、ホントに自分のやりたいことをやる。ミニ卒業研究。このあたりになってようやく自分で課題を見つけることができる。段階的に育てるのが越ヶ谷教育。
- コンピュータ活用の時間。外部の人に関わるので、子供がコンピュータで名刺をつくっておく。
- 外国語会話。月ごとにテーマがある。4月はあいさつなど。ビデオタイム、自作ビデオ20分番組を作ってそれを視聴。担当者とAETと英語の下手な人(校長など)が出演。
(単元構成) 教科とは違うが、大まかな流れをつくっておく。
- ふれる
- この過程が大事。共通体験。これが豊かでないと、その後のステップに実りがない。中吊り広告を参考にキャッチコピー。
- 外部人材(コミュニティーゲスト)の活用
元荒川の実践。ハプニングだらけ。お年寄りを招いて話してもらうと、本人はすごく喜ぶが話の内容がまとまらない。でも、おもしろい。
- つかむ
- 元荒川の町中と上流の風景の違いを話し合う。そのあと、上流に実際に行ってみる。遊んだあとに水質検査。市の環境保全課をゲストに招く。教室に帰って、課題を見つけることができる子供は、書いて貼り出す。その後、グループで課題について討論する。課題を見つけるのに時間がかかってもいい。コミュニケーションしながら課題を見つけていく。
- 段階的に課題作りを進めていかないと、中学校で対応できない。
- 共通か個別か?共通の時には教師がどんどん指導していい。個別に行うときには支援に徹する。
(評価)
- 集団基準(集団内での序列に基づく「相対評価」
- 目標基準(ある目標に到達したかどうか)にもとづく「到達度評価」
- 過去と現在の比較基準にもとづく個人内評価
(評価の観点)
- 課題発見力(課題のつかみ方)
- 計画力(見通しのもち方)
- 人間関係力(人とのかかわり方)
- 自己表現力(自己の学びの表し方)
- 自己評価力(自分の振り返り方)
(評価の方法)
- 観察法(教師が行う。子供についてMEMOを教師間で交換。)
- 面接法
- 自己評価法(最後には10分かけて行う。どこで何をしたか、満足したか、反省、時間のめあて)
- ポートフォリオ法(最初から最後まで、資料を集める)
- 本人にいい。1年かけてうまくいったことやいかなかったことを、振り返り、翌年の実践に生かせる。
- 他の子供にいい。参考にできる。
- 教師にとっていい。いつもすべての子供を見られるわけではないので、あとで評価することも可能。
〈考察〉
子供たちが課題を持つようになるようには、そうなるように意図したカリキュラムがいる。段階的に始動する必要がある、という主張には大変共感できた。
越谷小のカリキュラム設計の考え方は、蜷川小学校の取り組みの実態にも非常にマッチしている。
