「2005年の教室を考える会」合宿研究会

2002.7.20(土)-21(日)
すずかけ台セミナーハウス
敬称は略しました。


1日目 7月20日(土)

放談:2005年、教室はどうなるの?
(堀田龍也@静岡大学情報学部&中川一史@金沢大学教育学部

前回の振り返りと今日のねらい

できるだけたくさんの人と知り合いになっていってほしい。モノがそろったときに交流学習はだれとするか?2005年を目指して人間関係を作ったり意見交換したりするとよい。

堀田:2005年の教室?

2002年が最初の節目。2005年にはコンピュータが高速回線でつながる。ただし自治体格差が大きくなっている。
いい実践はゲリラ的に起こっていて、それが認められると、教室への導入が進む。待っているだけでは入らない。

2005年には、全ての教室に入る。こちらはこんなモノがほしいという要望を企業に出してもいい。2005年に入っているのは、小型化されたプロジェクタチョークの粉が気にならないコンピュータ。いつでも取り出せるデジタルコンテンツが山ほど作られてWebに載り自由に取り出せる。でもあるだけでは授業にならない。授業の腕みたいなところに結局問題は戻っていく。

活用事例を集めるようになっている。タッチパネル型のパソコン。黒板に貼ってホワイトボードのように書けるスクリーン。プロジェクタのラック。どこに置くかとかどこに写すかとかを考え始める企業がでているところに普及のきざしがある。


もっと変わってほしいこと。
都田ダッシュ村(小川実践@都田小)。野にでて活用する。PDAを全児童に持たせてテスト(石原実践@瀬田小)。教科での活用。
携帯電話の普及=情報のリアルタイムな発信。


Web学級日誌活用報告:こんなことを実践してみました

Web学級日誌はクラスの子どもたちにどんなメリットをもたらしたか

鳥取県三朝町立西小学校 田中靖浩

○Web学級日誌の運用状況

・昨年度から継続
・子供たちだけで運用

○子供たちの意識

・日々の入力
・メールを楽しむ
・コインが増えるのが楽しい。
・入力を楽しむ子と苦手な子がいる。
・相手意識が高まる。

○内容の充実

・教科=題名だけではなく、内容も書くようになる。

○メールの送信に夢中になる
・内容のないメールが出るようになった。メールの内容や発信者としてのマナーを意識づけるきっかけに。

○教室からの受発信
・これからの可能性を考えていきたい。

堀田
これから大切なことは日常感。問題を考えるまでにたくさんの経験を踏んでいるのがいい。

Web学級日誌から始まる学校間交流

富山市立熊野小学校 渡辺純恵

○約束
・絵はデジタルカメラで撮影した写真
・文章には出来事と感想を書く。
・注目すべきはメッセージ機能=コミュニケーションを楽しむ。学校間交流のきっかけになる。

○総合的な学習の構想
・総合のまとめとして「川サミット」で討論しよう。その布石としてあらかじめ交流しておくとよい。
しかし、交流のきっかけがつかめない。先生が投げかけても子供には必要感がない。そこで、子供が自分から交流したいと思うようなしかけが必要。そのきっかけのツールとしてWeb学級日誌を利用する。

メールのやりとりをしていくと特別の学校になっていく。

堀田:
交流の必然性を演出するためのWeb学級日誌の活用。メインの活動ではないけど、毎日そこにあるモノという位置づけ。日常化。環境ソフトのようなモノ。交流学習のきっかけにしかならないが、きっかけを生むにはとてもよいツール。
Web学級日誌から広がる世界 ともだちいっぱいプロジェクト

石川県内灘町立大根布小学校 山下雅美

○クラスのみんなで書いている。書きたい子は誰だって書いている。
・宝箱は優れもの!

○kouryuMLは情報の渦
・ゴーヤを植えませんか?というメールに応えたところ、「ともだちいっぱいプロジェクト」に発展。ゴーヤに落花生、大豆もやろうということで、植物がらみの大プロジェクトに。友だち100人プロジェクト発足。

○日誌の中に子供の思いが見える。交流の糸口になるが、教師同士の考え方が合わないとうまくいかない。ML等で考え方を合わせていく必要がある。

まとめ(堀田)

これから始めてみる人のためにわかりやすい実践。教室にコンピュータが来ることを前提とした新しいソフト。それがくるから教室がよくなるわけではない。

田中実践
「日常感」力を入れていない実践
日記をつけると子が楽しい→相手に伝わるか
「ゴーヤ」「しらまと」別の実践との絡み合い。
保護者とつながる。

渡辺実践
別の実践の布石としての利用
「特別な学校」になっていくようにしていくプロセス

山下実践
国語の指導の延長。
「ゴーヤ」「しらまと」別の実践との絡み合い
 

 

報告:NPOや企業はこんなプロジェクトを進行中
2005年にイメージする子供たちの新しい学習活動(buddy:大笹いづみ)
Web学級日誌の活用によるメッセージの交換。
共通なテーマの中から発見したことをメッセージに託している。
本格的な交流学習へのきっかけとなる

☆新しい学習活動
・活動の日常化
・交流蓄積による活動の継続
・自分たちの学級活動や生活の振り返り
自分たちも楽しんでいます。

学研のページにWeb夏休み日記が使えるようになっている。
中川:
ソフトを売っておしまいじゃなくてその後どう関わっていくかが企業に求められていく。
現場ではライセンスを買うことが難しい。形のないモノに現場はお金をかけていけるかが問題
東芝のPC戦略について(東芝:遠井和彦)
ノートPCに特化している。世界の中ではTOPシェア。
モバイル戦略。PDAを使っている学校があるとは知らなかった。学校で使うんだからという先入観を捨てることが大切だと感じた。
ブロードバンド関連技術の融合。これまで独立していた部署が融合し始めている。思った以上に新商品のタイミングは早まっている。数年以内に出現する。テレビとハードディスクとインターネットがつながったモノが出てくる。
線を使わない商品も提供している。
中川:
声が現実になるかまで見守りたい。企業は大きくなると縦割り行政的になるが横にリンクしているのがいい。
学校を便利にする便利サイト まなびの場.com(内田洋行:高篠栄子)
校務を軽くすることを目的にしている。他の学校がどのような動きをしているのかがわかる掲示板。
掲示板が荒れないようにメンバーは登録制。
人気があるのは、@指導案集(PDFで提供)A校務分掌のテンプレート(学校だよりなどを一太郎とwordで提供)Bみんなコミュニティ(保護者も教師も交流)
最新の教材を紹介するコーナー、モニターの募集コーナーもある。先生に評価してもらっている。
中川:
たくさんの人が関わるには、いい実践が集まるか。出した人にどうインセンティブがあるか。
特定の隅から隅までじっくりとモニターしてもらうことも大事。オレンジのポロシャツを着ている人に・・・(笑)
総合的な学習に最適!学校教育用「マグネットスクリーン」「PJカート」(和泉(株):亀田周兵、武井徳知)
スクリーンは明度の高いものを出している。
マグネットタイプは書き消しができることが特徴。小さくてもスクリーンとしての機能は高い。
PJカート。
中川:
プロジェクターは各フロアに1台ずつ配置されたときには、PJカートは活用される。
サン・マイクロシステムズと教育(サン・マイクロシステムズ:佐藤菜穂子)
○会社概要
・本社はアメリカ。スタンフォード・ユニバーシティ・ネットワーク。javaの生みの親。unix,linuxの製品を提供。
○初等中等教育における役割
・先生の時間と労力を軽減するためのネットワーク環境の実現。
○米国では
・WBTへの移行と情報化にかかるコストの軽減
・クライアントのOSが混在しても使える図書の検索システムの開発
○日本では
・上越市ネットワークセンターをはじめたくさんの地域でセンターサーバとして活躍中。
中川:
メディアを購入すれば、教育機関に対するライセンス料は無料。
教育関係のコンテンツ配給会社との連携を図ってほしい。学校でサーバを抱えたときのアフターをどうサポートしていくかも考えてほしい。
電子黒板 兼 授業記録システム(スカイシンクシステム:西山聡)
手書きした文を提示しする。授業の記録ツールとして活用できる。画面と一緒に音声も保存。
中川:
どういうソフトと結ぶか。
学校ではペンをなくすことが多い。最初から何本かつけておくなど、細かい配慮があるとよい。
iEARN国際会議モスクワ大会に参加して(JEARN代表:高木洋子)
世界で一番大きな教育会議。年一度どこかの国がホストになって、世界中から一つの会場に集まってわいわいやる。一度いくとやみつきになる。この会場と同じ雰囲気。
モスクワ大会の様子を画像で説明。
今年は日本であるので、たくさんのメンバーに来て頂きたい。

2日目 7月21日(日)

情報教育実践報告:この実践が新しい
相手意識を制御することで情報活用の実践力を高めよう

石川県松任市立東明小学校 中條敏江

2005年に全ての教室にインターネットが入ったら、情報活用の実践力の目標レベルが変わる。

交流するときに広く交流する、絞って交流する、その際の相手意識の制御について

1広く交流
4年生プロジェクト11校=交流をじゃぶじゃぶ体験する。
・種をもらって交流スタート→お礼がしたい(名産を送る、種を送る)
・水の審査依頼(CD宅配便で届く)→感想を掲示板で送る、ビデオレター
・1回体験できたことを後から何度でも体験できるコーナー常設(FAXの送付表を用意しておく。手紙の書き方を教科書からコピーしておく。

2しぼって交流
オリジナルデザートを考えよう
・食べておいしい・見たことがない・食べたことがない
・よさ(ウリを伝えられる、出来がよくなければならない。静止画動画など情報手段の選択ができる。
・オリジナルデザートを作りたいという意識が高まったところで、テレビ会議で提案。急遽ビデオレターを作成。TV会議とビデオレターとの違いを話し合う。
・TV会議で深める(トラブルで音声は携帯。子供たちは話し合いたいので、携帯の言葉を中継しても十分話し合いが成立した。
中川:
予定していたことができないときにどうするかを臨機応変に考えられるところがすごい。
じゃぶじゃぶ使える体験=交流そのものを体験する。一方で相手意識をしっかり持たせる、絞るというのが中條実践の妙。掲示をぼろぼろになるまで見る。
プロセスの学びをしっかりおさえている。交流相手をどういう風に捜していくのか。11校で交流していくうちに相手を見定める。そういう関係をどう作っていくか。
人がつながるための掲示板・モノ・情報発信

富山県砺波市立出町小学校 白江 勉

種に対して水を返す。
どれが一番美味しい出町小の水道水白江家の水道水市販のミネラルウォーター。もっと美味しい水があるよ。
みんなのお薦めの水を持ち寄って飲み比べてみよう。60数種類の水は送れない。
「Webで見てもらう、CMを見てもらう。選んでもらおうよ。」
コマーシャルCDに対して要望が集まる。コマーシャルが効果的だから「その水がほしい」という希望が帰ってきた、という意識をもつ。

さまざまに伝える手段を体験できた。
人のために役立つ満足感。

ここまでの実践は導入。ものを通して交流、情報発信、評価の一サイクルを経験することが目的であった。ここから先は、子供が選択、発展的に取り組む。
新聞、ポスター、チラシ、本、ラジオ放送、店企画など手段を選択。FM局のアナウンサーと打ち合わせ。校長先生の許可をもらうなど、すぐできるものではないというシステムを学習。
 
掲示板は、ものと他の情報手段と絡めることによって必要感を感じて有効に使える。
相手を意識した活動が「自分の考えは伝わったか」を考えることにつながる。
中川:
柔軟な対応。メールから出てきた問題を取り上げる、校長先生や保健所から許可をもらうという壁を設けている。保護者が巻き込まれる活動が埋め込まれている。自己評価と外部評価・相互評価をうまく絡めている。そのさじ加減を何かの機会に発表してほしい。
クリエーションを楽しもう

熊本大学教育学部附属小学校 前田康裕

IT研究授業に重点。
総合に「情報」の時間がある。英語講座の番組作り。条件を決める。2分30秒以内に、ギャグを入れて。

制作の過程
昨年度の作品を見る。モチベーション、ギャグの難しさ。絵コンテ、シナリオ作り。
撮影は難しい。音声を意識することなど指導する。編集はコンピュータ上で行うので感嘆。音も入れられる。発表は授業参観。

クリエーションを楽しもう。がテーマ。

附属だからできるといわれるので誰でもできる実践を。

デジタル図画工作。4年光のポストカード。光と色を生かした写真を写して、明度、彩度を調整して鮮やかな画面にしていく。効果音付きスライドショーに仕上げる。

5年キャラをふやして。6年学校ポスター。写真を取り込んでポスターにしていく。

研究紀要はCD-ROM。制作は1日で。1日制作プロジェクト。今年はこう作ろうというのをディスカッション。子供がやるのと同じことを教師も経験。お菓子や弁当を用意して楽しく作れるようにする。

教師も子供もクリエーションを楽しむと学校そのものがクリエイティブになる。
中川:
ITを活用するのはまず教師。教師が楽しむとそれが子供に伝わる。
作る楽しさをまず純粋に味わうことが大切。
たくさん撮ると素敵なものがとれちゃう。1枚をうまく撮ることに目がいきがちだが、たくさん撮ると1枚ぐらいはいいものがある、その良いものを見抜く目を育てることまた大事。
まとめ(中川)
・作りたくなるような内容、題材、アイデアである。
・行間をうまくつかっている
・人とのかかわりを大事にしている。give&take度が高い。できないところを補ってもらういっぽうで自分ができることを何でもする。
・教師が楽しんでいる。

ワークショップ2005年の教室でこんなものを使ってこんな実践をしよう
イメージ
−実践や活動のイメージ
−使いたいツールやコンテンツなどのイメージ
変化した結果
−子供のつけたい力
−教師・学校・メーカーに求められること
今すぐに
−わたしたちがまずやれること・やるべきこと
上記をテーマに40分の話し合いののち、各グループ2分で発表を行った。どのグループも短い時間で濃い内容にまとまっている。


放談:2005年、教師はどうなるの?
(中川一史@金沢大学教育学部&堀田龍也@静岡大学情報学部)
中川:
国語の教科書は情報教育の内容が増えている。図工、コンピュータを使った題材が増えている。見方を変えた表現や映像表現など情報教育の観点を入れた内容に教科書が変わっている。
堀田:
2005年に必要なもの
○ツール
・持ち運び、子供に一台
・蓄積性、交流性
○コンテンツ
・日頃の記録がコンテンツ化。
○仲間
・一人ではできない
・教員とメーカーのうち解け合い
軽やかさとしつこさ
軽やかにしつこく。日常的な実践を長く続けていくことによって、子供たちの変容がある。
中川:
横のつながりを意識する。総合と教科のつながり。総合でつけたい力とその力の教科とのつながりを見直すことが大事。教科書は変わってきたけど最終的には教師にのコーディネート力、力量が問われる。
まずは教師から。情報活用に実践力=アイデアとフットワーク。

人のつながりを意識する
教師番情報デバイドは起こる→仲間と共に高まっていく
→学校全体で高まっていく
→誰に頼めば動いてくれるか
企業との連携
→必要は発明の母。企業活動に参加(シビアに評価を受ける)
→プロセスに教師を入れる。授業を見る、やってみる。
企業は人を提供して人と関わってほしい。
堀田:
専門家の視点は学校教育にほしい。そういう人が撮った写真には視点が明確にある。そういう目を学校に入れることで可能性が広がる。
中川:
学校は何を望んでいるか。企業と学校の両者が歩み寄る。