講話「これからの生活科・総合的な学習の時間    −中教審の審議から見えるもの−」

文部科学省初等中等教育局教科調査官  田村 学 先生

 上越大手町小、上越大附属小を経て、この4月から視学官になった。

 「Always 3丁目の夕日」。昭和33年東京。親「明日も夕日がきれいだといいね」子「50年後もきれいだよ」。子供の素晴らしさを感じるシーン。
 総合への逆風。PISAの順位が下がったことが原因。総合がなくなるのではないか。大臣発言の真意は違うが、マスコミにはそう出た。

 中学校教員の総合に対する意識。メディアの報道は限定的だが、全体的には逆風だった。

 中教審では、総合の趣旨に間違いがないと確認している。これからも求められる力なので充実させていく。問題は格差があること、学校間、指導者による差。校種間の差。それをどう解決していくかが議論になる。

 総合は存続し、必要感は高まる。子供たちについている力、成長の説明責任が問われることになる。教師一人一人の指導力、学校の組織力が問われるようになる。足踏みする人は子供に力をつけることもできないし、教師自身も力を伸ばせない。


総合を巡る問題

1 カリキュラムの問題
 目標、内容の明確化。明らかになれば、教科との関連、小中との連携、生活科との連携も明らかにできる。精度の高い学校も出てきているので、先進校に学ぶとよい。

2 学校の支援体制
 時間、人、お金の問題の解決。総合推進の予算を取る。来年度は、4億5000万円を計上した。平成17年(5000万)から見ると9倍。各校の自助努力も必要。中高でうまくいっているところは、総合を実践しやすいような校務分掌の見直しがなされている。

3 指導法の開発
 活動が多いので、今までの教科の発想を乗り越える指導法の開発が必要。毎日の営みの中で、進めていく必要がある。


生活科はどうか?

 教科として、確かなものになっている。関心意欲態度が充実。嫌いな子供たちが少ない。体験を通して学ぶ、地域くらしが対象。自分とのかかわりで学ぶ。
 がんばってほしいところは、「活動有って学びなし」という批判に、どう応えていくか。教師の指導性が発揮される。思考力を高めたり気付きの質を高めるための教師の指導力が求められる。活動だけでは見えない、教師の腕の見せ所を意識して。これまでの、子供たちの主体性を大事にしながら教師の指導性を発揮する。「教師力」「学校力」という言葉がキーになる。


小学校英語はどうなるか

 NHKの報道。平成19年度から小学校英語が必修化の方針。というのは誤報道。まだ、そういう方針は出ていない。現在議論の真っ最中アジア各国は、どんどん小学校から進めている。賛否がある。
 反対意見:あまり早く始めると、動機づけが弱くなる。中学校に入る前に英語嫌いを作らない。日本語の発達を妨げるのではないか。といった議論がある。

 メディアに出る報道は限定的。確かめるためには、複数社を調べてみる。文部科学省Webに情報が出ている。そこを見ると確かな情報が分かる。



今後の見通し
 12月中ぐらいに審議経過の報告が出せそう。時数や枠組みはまだでない。学校週5日制は堅持。新しい課題が出てきているが時間枠という器は限られている。充実の方向にはあるが、時数等の具体的な議論は行われていない。

 逆風は弱くなっている。社会から認められ、応援されている。ためらうことなく実践の質を高める。質の高い実践をする教師は、力をつけている。

(考察)
 現状の問題点と、今後の方針について具体的に述べられており、ずいぶん勇気づけられた。自分の所属する勤務校や小教研部会での総合的な学習に関する方向性は、田村調査官の話された方向性にマッチしていると感じた。これからも、方向性を過たずに、研修を積んでいきたい。