IT活用による元気な学校づくり

2004(平成16)年3月13日(土)
於:アールンホール(東京)
                   何となく議事録風に記録をとったので、まとめてみた。
富山市立寒江小学校 笹原克彦

第1部 「小牧中のIT活用」
 まずは、小牧中学校でエデュコムがどのように活用されているかを、模擬職員室をステージ場に設定して、実演しながらレクチャー。進行は玉置教頭と神戸教務。教員の外、事務官、用務員もステージ上に。


【模擬職員室の風景】
 教員は朝の登校指導に出ている。その間に入る欠席の連絡を職員が受けてエデュコムに登録。担任は、ネット上から出欠を確認。登録された出欠記録は、指導要録に反映。月末には一覧表になるので、これを印刷して出席簿とする。休みがちな子供の情報なども、簡単に閲覧できる。諸連絡もネットで分かることは口頭ではしない。生まれてきた余剰時間で、教員が1分間スピーチを行う。よい話題を共有し合うことが目的。明るい雰囲気で1日がスタートする。


【1日の文書処理】
 文書受理の処理は、エデュコムで。ほとんどは選択するのみで、文字入力は出張先ぐらい。出張者の割り振りを教頭が行う。文書受理簿への記入、黒板への記入など、いろんな場所にそれぞれ入力されていた情報が、一元管理される。一度入れた情報はとことん使われる。従来は受理簿に記入しても、あとは、そのまま綴られて終わることが多いが、入力情報がその後にもきちんと反映していくことで、効率よくなる上に、入力者の仕事のやりがいが高まる。今まで同じ情報を何人も書いていたが、一元管理が進めば、一人が入力するだけですむ。

【いいとこ見つけ】
 子供のいいところを見つけたら、「いいとこ見つけ」のその子のページに登録。全職員が全生徒を見ていくという視線を持つ。データベース化された「いいところ」は、学期末の評価に反映。印刷して保護者に知らせる。「One for all, All for one.」をモットーに保護者への信頼を。教科の場面、生活の場面でも評価できる。子供のがんばりは、評定だけでは反映されない。子供の努力する姿を、「いいとこ見つけ」シートで保護者に知らせる。保護者とのコミュニケーションの高まりがある。日々の累積していくことで、子供の歩みをとらえられる。所見記入のための評価ではない。
 数の多い少ないでクレームがついた。プラスアルファの評価であることを説明。評価の少ない子供は担任がよいところを見つけようとする。教師のよいところを見る目が高まる。評価も年間を通して10件以上を目標にしている。1件と5件では多少を感じるが、10件と15件では大差がない。

【通知表もソフトウエアが印刷する】
 担任はABCのはんこを押すために給料をもらっているわけではない。その時間を子供と過ごす時間に当てたい。従って、評定や評価もデータとして入力する。内容が妥当であれば、それをそのまま印刷して通知表とする。入力するのは一度で、教務が評価データのチェックを行う。納得のいかない物は、印刷をして担任と話し合う。データベースは共有されそれぞれの担任の所見が見えるので、子供に対する見方が高まる。教師の力量アップにつながる。便利になるだけではなく、力量は高まりが期待できる。教師にとっても総合的な学習が行われている。教師観の関係がオープンになる。

【止まったときのサポート】
 エデュコムのサポートが対応。10分程度で大抵は復旧する。

【ソフトに対応するための研修は?】
 両隣の先生に教えてもらう。特別な研修会は開かない。ほとんどの操作がクリックですむので、ワープロが打てれば対応可能。

【U-プリント】
 子供の解答結果を入力。不十分だった所を把握できる。そこだけをまとめた問題プリントを個々に作成し、定期テストの解答解説後、個々に応じたU-プリントを解いて復習する。

【事務官(採用1年目)のコメント】
 書類で一杯のアナログな職場のイメージだった。エデュコムがあるので、連絡掲示板に必要事項を記入しておくだけで、お知らせ類は全て電子化してみせられる。自分にとっては当たり前のソフトウエア。

【指導要録】
 通知表とリンクしているので、まとめるのは2時間程度で全員分が終了。データはサーバに入っているので、仕事を持ち帰ることは出来ないが、勤務時間の中でできる。通知表に記入したデータが、ボタンを押すだけで、そのまま指導要録に流し込まれる。多少記述の内容の訂正が必要なので、2時間かかる。
 データは累積されているので、その子供の3年間分のデータをまとめて閲覧できる。


★堀田先生から解説
 学校事務と学力向上を目的とした統合ソフトウエアになっている。
 データの効率的有効利用。仕事の効率化だけではなく、教師の力量や子供を見る目の高まりなど、教育の本質に関わる効果がある。





第2部 「職員室のIT活用はどこから進めるか」


★コーディネータは、堀田先生@静岡大学

文科省の教育の情報化
・情報教育(子供の情報能力) 
・授業でのIT活用(従来の子供の学力) 
・校務の情報化

まもなく教師一人一人にコンピュータが来る。
説明責任、外部評価が入っていくる。
そういう時代に、時間を生み出し評価を進めていくための運営の仕方。

小牧中。いい意味での効率化。時間を新しい活動に振り向ける。
一つ一つの活動は、従来にもあったこと。
でも透明性が高い。全職員が子供を育てるという体制。それが保護者の信頼感を生む。でも、ただエデュコムマネージャーを入れるだけでは、小牧中のようにはならない。



★そもそもどんな問題意識から?
★そもそもどうしてこういう形態にしたいと思ったのか。苦労は?


【玉置】
教頭赴任から6年目。
中学校では「忙しい」ということばがすぐ出る。それを解消することが運営上で大事なこと。
無駄なことが学校にはたくさんある。効率化すれば時間を生み出すことが出来る。
それを推進するのがネットワーク。

中学校では、大勢人がいてコミュニケーションがうまくいかない。生徒指導でいないために大事な情報が伝わらない。一体で指導しなければ行けないのに、疎外感を持ってしまう。それを解消するためにネットワークを実験的に使ってみたい。
最初は、コンピュータで掲示板。ロッカーの上に4台ぐらい並べて、連絡するようにする。毎日それを見てから教室に行くのは無理があるが、関心は高まった。職員で掲示板で意見の共有。職員会議のために事前に意見集約。提案に対して返信。全員賛成なら通る。全員反対なら却下。賛成反対が拮抗する物を会議の議題とする。会議は連絡の場ではなく、議論の場になる。掲示板だけでも、時間の効率化になるし議論の密度が濃くなる。

ほりたん:「最初は連絡。次に意見の交流。このあたりからスタートしているのが面白い。」

エドウエルと交渉。グループウエアの開発。条件はマニュアルのいらないもの。10分以上説明のいるソフトは学校にはいらない。見ただけで出来るようなものを。スモールステップで必要な物を入れてきたので、今のようなソフトウエアの形になっている。

ほりたん:「となると、できあがったものをポンと入れることで、スモールステップを踏まえられない問題が起こる可能性はある」


★改革されたことは何?

【担任(加藤)】
 見方は一つではないことが分かった。他の先生の評価を見合うことで、教員間の輪が高まる。子供への接し方のアイデアが増える。

ほりたん:「子供を多面的に見る、教師の力量が高まりが一番なのがなるほど。教師観の風通しがよくなる、というのが次に来ている。(効率が一番にはなっていない)。教科としてはどうか」

 教科担任間でお互いにいいところもらっている。教材の共有。指導法の情報交換。


【学校事務処理(山本)】
 情報の入り口として。文書処理は以前は手書き。回覧すると、担当者が記入されて返ってくる。文書受付簿に欄外に担当者を記入して担当者にまわすという煩雑な。今は、自分の入れた情報が生きている。出張先が正確にわかる。提出文書の〆切が守られる。提出情報を見つけるのは、以前は大変な作業だったが、今は簡単に出来るようになった。

 ほりたん:「意志決定に必要な情報だけが、先に流れるので、意志決定のスピードが速くなる。これまでは文書の回るスピードが情報のスピードだった。」


【教務主任(神戸)】
大人が子供をどう見るのかという視点を共有できるのが一番大きな点。情報のやり取りで無駄な集合時間が減った。職員が集まる時間を考えなくても、情報が共有できる。先生たちの生活時間に合った仕事の進め方が出来る。

ほりたん:「教務の仕事は年間活動を設計していくのが仕事。時間の確保とかはどうか」

 意見集約したものを年間計画とするが、必要最低限の会議で意志決定できる。

ほりたん:「小牧中だから出来る。一つは教員集団の雰囲気。もう一つは、システムの導入と学校の実態に合わせた運用。システムが入ったからといって出来るものではない」


★どんな機能をなぜ取り入れたの?

【柳瀬@エドウエル】
 先生方に便利な物は何かを考えた。最初は掲示板、そこからスケジュール機能。学校の注文を聞きながら開発。

ほりたん:「学校の現実が伝わらないで作られている教育ソフトがある。エデュコムには学校の問題をどうメーカーに見せたのかの歴史が詰まっている。エデュコムはシステムとしてだけでなく、ノウハウの集合として意味がある。」


★保護者にとっては?

【保護者代表(舟橋)】
 小牧中の学区に住んでいてよかった。6年間PTAをしている。下の子供が入学した3年前に通知表が変わった。上の子供の時は、本人がいうかこちらから行かない限りは、学校での様子が分からなかった。それが普通だった。下の子供の時に「いいとこ見つけ」が始まって変わった。家では分からない様子が分かってうれしい。

ほりたん:「保護者から見える教員の数が増えているのではないか」

【PTA会長】
 小牧小は、善循環。子供も教師も親もがんばれるムード。信頼関係があるから前向きの話が出る。楽しくできる。

ほりたん:「情報がうまく流通することによって学校がうまく回っている」


★このあと小牧中はどう回っていくのか?ビジョン。

 職員一人一人が、元気になるための時間が生み出されている。教員のよさがでるような組織作りを。それが子供、保護者の信頼を生み出される。安心して、子供が通える。学校に行かなくても学校のことがよく分かるような、公開された学校。

ほりたん:「中学校の理想的な在り方。」


まとめ【堀田先生】

・効率=活動/時間。
 同じ活動が短い時間で出来れば効率が上がる。
・多忙感からの解放、時間短縮。子供への働きかけ、教員の力量の取り組み。効率を考えることは必要なこと。
 学校は一緒のようで一緒じゃない。情報はたくさんあるが、共有と再利用は×
 効率化に後ろ向き
・説明責任に疎い。子供は知りたい。保護者や地域も知りたい。教師同士も他の人の指導を知りたい。


情報の使い捨てからの脱却
・教務情報は要録にまで生かす。情報共有による風通し、役割分担。

学習する組織として
・新人が学べる。ベテランのノウハウが共有できる。

支えているシステムを普及へ
・小牧中は数年後の理想型。後進に苦労は不要。