富山県東部教育課程研究集会社会科部会

富山県小学校教育課程研究集会社会科部会

平成14年11月7日(木)
婦中町立宮野小学校
 会場は、婦中町立宮野小学校。5年「わたしたちのくらしとケーブルテレビ」を中心に参観。どの学年も事実を基に自分はどう考えるかを語ることをベースにおいている。「本時での話し合いが、子供の見方や考え方にどのような影響を及ぼすか」という視点で参観した。

 5年授業は、話し合いの中で、友達の「関わり方」を垣間見ることになり、そういう友達の関わり方を知ったり、自分と比べたりすることによって、同時にケーブルテレビと自分の暮らしとの関わりを見直す時間になっていったと思う。

 後半、これからの技術に話が流れすぎて、本時のまとめを書くときに、自分の暮らしとケーブルテレビとのつながりという視点が薄れてしまったのが残念だった。最後にゲストティーチャーが、単に感想だけでまとめようとしたので、担任がこれからの展望について質問したところ、本時の流れに沿った未来のケーブルテレビが技術的にどんなことができるかという話になり、未来への夢を抱いて授業を終えることができた。今日は結果オーライだったが、ゲストティーチャーを招くときには、授業の意図やどういう話をしてほしいかについて、事前に打ち合わせておくのは重要だと感じた。
 藤岳指導主事の講話。

 お互いの方向性についての討論がなされていた。調べ学習となると内容から離れられなかったり自分の調べたことに執着しすぎたりすることもあるが、このやり方でよいかを再検討されている(相互評価、自己評価)のがよい。その尺度が、関わり度のグラフ。基準がなく曖昧な分自分の考えを反映しやすい。その子供にとっての尺度で自由の考える。尺度、子供たちの考えで決めている。それを使うことで自分の考えが明確になる。ケーブルを学習しているがそれだけを学習しているわけではない、働く人情報との関わりを意識するためには教師の働きかけ、友達家族との関わり、地域の環境。地域教材の妥当性は、子供の思いをはっきりさせることができるかどうかにある。他の問題に関わることができるかという視点も大切。
 ゲストティーチャー。「何のために」「どんな話を」学習課程を考える上で重要。事前の打ち合わせは重要。子供たちの意図について打合せ。子供たちの学習の成果を見てもらうというのでも何でも、先生の意図が明確ならばそれでいい。どうした方が子供のねらいに達する上でいいのかを、各校ではよく考えるとよい。
 放送局の学習を通して獲得した知識が「努力や工夫」という放送局ではたらく人々に対する見方につながる。ケーブルが入っていても入っていなくても、この学習がどうつながっていくかを考えておけば、そこに学習の意味がある。
 評価。自分の学校ではどう捉えるかを考える参考資料が提示されている。大人(外部人材)から見た子供たちの学習の仕方に対する評価があると、子供たちの力を伸ばすきっかけとなる。
6年此川さんの授業は「みんなの願いを実現する政治−宮野小学校の校舎改築を通して−」。

 校舎の改築にあたり、実に多くの人々が願いを持ってそれに関わっていることを事実を基に話し合う時間。行政の立場、住民の立場など様々な視点からの意見が出ており、子供たちの真摯に授業に望む態度が伺われる。
講演「新しい社会科の実践課題」

岐阜大学教育学部 北 俊夫



 新指導要領に関わる実践課題について。難しいという思いをクリアすることが大事。

 総合の実践。すべてが地域と関わりながら構想されている。総合の教材、活動と社会科との教材、活動とに、類似性共通性がある。故に、安易に関連をはかることがある。社会科で身につけるべきことが身に付いていない。教科との安易な関連づけは危険。教科の役割は何か。

 中教審答申15期。総合的な学習を作ったこの答申の中に「今後、教育課程審議会の中で教科等の構成のあり方について審議すること。」とあり、次の全面改定では教科の再編統合が話題になる。公の立場で再編が公言されている。社会科の独自性を考えていかないと、社会科が統合されるかもしれない。社会科が大事ならば、どの先生も地域の人もその役割の大切さを知らせることが必要。5,6年は地理的歴史的な内容なので、総合とは競合しない。中学年の社会科が問題になる。

以下の2点について話を進めたい。
@「基礎基本の着実な定着」を社会科としてどう受け止めるか。それがあれば、総合もまた充実する。
A社会科改訂の目玉「調べて考える」活動の明確化、重視。なぜ調べて考えるなのか。授業者としてどんなことを考えておくか。授業の改善について


【社会科の基礎基本とは?】

指導に関わる工夫。
○子供自身が知識を獲得、構成する問題解決的学習を組み立てているか。学習のプロセス
○中学年においては地域の教材化。地域の人、他の先生と一緒に指導する。(TT)
○具体的に見学観察する。動的、行動的な学習活動。
○多様な問題意識に応えるための複数資料の準備。学習の複線化。子供が選択的に学習していく。

こういう従来からあったアイディアをこれからも大切に。先生の努力は必要だが、以下の2つについて気にかかる。

○教師が考えた子供に身につけさせようとしている内容が、本当にそれでいいのか?その見極めがとても大事である。内容の吟味が不十分なままであれば、いかに工夫されてても不十分な基礎基本になる。おさえられるべき基礎基本はそれでいいのか。目標の明確化
○指導しっぱなしで終わっていないか。すべての子供に身に付いたという見極めがなされているか。不十分な子供のフォローがあるか。早く取り組めた子供に挑戦の場があるか。評価がなされているか。評価の実施。

目標と指導と評価をどう関連づけて授業を作っていくか。

となると、基礎基本をどうとらえるかが問題になる。
・基礎基本とは指導要領?
・社会科とは何を勉強するのかと問われたとき、なんと答えるか。保護者の立場なら、言い方は違ってもポイントは同じであるべきであるだろう。子供は先生を選べないし、公教育であるし、義務教育であるから、どの学校に通う子供であっても、最低限の内容はそろえるべきではないだろうか。担任によって考え方が違うと、保護者は不安になる。指導要領に書かれていることを基礎基本とふまえて単元を設定すれば、授業の目標がぶれることはない。安心感がある。内容だけではなく、学年の目標も書かれているとよい。社会科の3つの目標(理解と態度と能力)が明らかになっているか。評価は目標の要素と深く関わる。

指導要領の趣旨について各学校で十分理解されているか。中学年の内容が一括されたのはなぜか。内容に各学校による選択的な部分があるのはどうしてか?


【授業改善】

固有性と共通性という視点での授業改善が必要だと思う。
教科だけで身につける内容(縦棒)、全教科にまたがる総則の内容(横棒)のT字方のバランスが大事。

○評価
評価計画を明確に位置づけていくことが大事。
絶対評価に焦点が当てられたわけ。
1 目標に位置づけられているのはすべての子供が身につけるべきこと。一人一人に評価しないと、その子の身に付いたかを明示できない。学校規模が小さくなっているのに、相対評価を行うのは教育的ではない。学級集団と学習集団はイコールではなくなっている。問題は、その評価に客観性があるか。観点別学習状況評価が基本。それを補完する意味で、所見があり評定がある。なぜ、それが基本か?観点は指導要領の内容とリンクしている。子供の姿を見るときに漫然と見ていても、子供の考えの中身までは見ることができない。木を見て森も見ると言う手続きが必要である。

○調べる力をつける
社会科での調べ学習。子供が自分で資料を選んで調べる学習を工夫している先生の悩み。子供が資料を丸写しして、それを調べたと言っているがそれはどうしてか?電話でのインタビューを聞いていると、内容が要領を得なかった。自分から図書館で本を探しているが何も手にしないで、教室に帰った。なぜ目的に応じた本を手に入れられなかったのはなぜか。先生が調べる場や時間をもうけてはいるが、調べる方法は具体的に十分指導していないのではないか。

○必要な指導
1 調べ活動を促す前に、一人一人にはどんな内容をどんな方法で調べるか計画させることが大切ではないか。インターネット、本、どんな資料がほしいか何を調べるか、方法と内容を確認させる。問題解決の見通しが立つ。
2 調べ方についての指導は十分か。図書館の本がどう並んでいるか、目次はどう見たらいいのかといった知識を子供は身につけているか。調べる方法、手順は指導すべきである。

○知識=学び方に関する知識。マスターキーとしての応用性、転用性のある知識。の二つある。もっというと常識的知識、教養的知識を身につけておくべきである。日本地図を書けるか、石川県と富山県の位置関係など指導要領には書かれていないけど日常的、一般的な知識としてベースになる基本的な知識に関する指導がおろそかになっているのではないか。